文学アクセサリー『空のうたたね』

8 自覚すること

幼い頃から成績は最悪でした。
 
文字を読むことは、自然とできるに決まっていると、正直、甘くみていました。
 
一方で、音読がうまくできないことを、大人になれば、あまり披露することがなくなるので、
そのコンプレックスは隠すように心にフタをしていました。
 
根本的な問題を改善することはなく、無理やりな努力で何とかしていました。

会社務めをし始めた頃のある日、

電話をとり、相手の電話番号を聞き取ろうとした時、番号をメモすることが出来ませんでした。
 
これには、自分の無能さにがく然としました。

なぜ、こんな簡単なこともできないのか?
 
数日、考え続けていると、ふと音読が出来なかったことと、メモを取れない理由が同じ原因ではないかということに気がつきました。

つまり、「文字←→言葉」の変換が非常に困難だという事です。
 
音読とは、文字を見て、声にする作業です。
 
それは、まるで、楽譜を見て、音楽をかなでるような作業です。
 
(なんだ!音読とは、とても難しいことじゃないか!)

さて、どうしよう・・・これがトレーニングのはじまりです。
 


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