枯羽 ～小野小町より～
原作：小野小町（生没年不詳）
花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに
制作：Paody
絵：Paody
文章：Paody
Silver950/七宝
空を舞い、光が乱反射していた。
自由自在に飛び回り
私を中心に、この世が回っていると思っていた。
いや、振り返ってみれば
「思いやり」を持っていなかっただけかもしれない。
しかし、時間は、足音も立てずに、全てを飲み込んでゆく。
「夢」や「反省」を持ち合わせる間もなく
「タイムオーバーだよ」と肩を叩いてくれることもなく
時間が私を奪っていく・・・
無音のカウントダウンは始まっていた。
６・５・４・・・・
午後になっても動きは鈍く、雨が降る
３・２・１・・・
私は落下した―――
叩きつけられた肉体は、まるで早送り再生をしているように
朽ち果てる
今年の春も、くしゃみをしたように桜の花が咲き誇り
慌ただしく、雨とともに散っていった。
百人一首
花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに
老いは今のところ人類にとって必然だ。この３１文字の芸術は 、普遍的なメロディなのだと思う。そして、この切なさを、美意識であると繰り返し伝承してきたのが日本文化だと言えるのではないだろうか。
展示歴 2019/9 (大阪) ・ 2019/5 (創造者たち)
ラベル
ラベルとは・・・ 空のうたたねは、色々な原作をもとに、作品作りをしています。そこで、作品のジャンルによって、色分けをした印です。