焼かれた魚 ~小熊秀雄より~
制作:Paody
絵:Paody
文章:Paody
brass
原作:小熊秀雄『焼かれた魚』
人間は路上で七輪をだして、僕たち仲間を焼いたもんだ。
僕も釣り上げられてしまって、七輪の上で焼かれしまった魚。
僕の体から煙が上がり、香ばしく焼きあがる。
やっぱり、海にいた時を思い出すと、ホームシックになるんだ。
だから、主人が見ていないうちに、匂いで釣られた猫にお願いしたんだ。
「あのさ。僕を海につれていってくれないか?」
「当然、タダじゃないよ。運賃として僕の肉をあげるよ。」
そうやって、僕は、自分の肉で運賃を支払いながら海を目指したんだ。
ネズミのトロッコ
野良犬のトラック
カラスの飛行機
やっぱり、飛行機代は高く、ついに僕の大切な目玉は無くなった。
僕の体は、すってんてん。一文無しの貧乏なのさ。
でもね。僕は海に戻って、泳ぐのさ。
裸ん坊で、ちょっと恥ずかしいけど、肉のない僕は、捕まる心配もない。
サメの前を通過しても、食べられる身もないのだからね。
もう怖いことなんてないのさ。
僕の体は貧乏だけど、食べきれないほどの自由を手に入れたんだ。
ラベル
緑ラベル:物語や戯曲を基に
赤ラベル:歌や詩を基に
青ラベル:哲学や思想を基に
黄ラベル:歴史や考古学を基に
黒ラベル:Paodyによる
コラボ
ラベルとは・・・ 空のうたたねは、色々な原作をもとに、作品作りをしています。そこで、作品のジャンルによって、色分けをした印です。