みのむし ~清少納言『枕草子』より~


原作:清少納言『枕草子(40段)』
制作:Paody
絵:Paody
文章:Paody
Silver950/Copper/七宝

「パパ・・・はやくこないかな・・・」
そんな声が聞こえてきたので、コオロギ君は、見上げた。
ぶらぶら ブランコ ぶら下がる。
不気味な服を着こんだ みのむし君が、ぶら下がっていた。
コオロギ君が、声をかけようとすると、向こうの方から鈴が鳴る。
あれは、ジェントルマンの鈴虫さん。
鈴を鳴らして、コオロギ君を呼んでいる。
(なんだろう?)って思いながらも、自慢のジャンプで、こんにちは。
コオロギ君が、声をかけようとすると、向こうの方から鈴が鳴る。
あれは、ジェントルマンの鈴虫さん。
鈴を鳴らして、コオロギ君を呼んでいる。
(なんだろう?)って思いながらも、自慢のジャンプで、こんにちは。
「やめときなさい。みのむし君は、鬼の子です!」
鈴虫さんの話によると・・・
「ある日のこと、恐ろしい鬼にも子供が生まれてきました。喜んで、わが子を抱き寄せると・・・
「ある日のこと、恐ろしい鬼にも子供が生まれてきました。喜んで、わが子を抱き寄せると・・・
生まれて来た息子は、手も足もなく、うごめいている塊でした—--。
自分の子供といっても、不気味な姿なので、お父さんは、ためらってしまいました。
みのむし君の方は、無邪気に
『僕もお父さんみたいな立派な角が生えるかな?』
お父さんは、みのむし君の質問にこたえず こう言いました。
『お前は鬼の子だ。恐ろしい心を振り回すのは、大人になってからだ。だから、大人になるまで、
自分の子供といっても、不気味な姿なので、お父さんは、ためらってしまいました。
みのむし君の方は、無邪気に
『僕もお父さんみたいな立派な角が生えるかな?』
お父さんは、みのむし君の質問にこたえず こう言いました。
『お前は鬼の子だ。恐ろしい心を振り回すのは、大人になってからだ。だから、大人になるまで、
このミノの中に入っていなさい。きっと秋風が吹くころには迎えに来るからね。』
そう言って、鬼は、みのむし君を置き去りにして、逃げ出しました。
捨てられたことも知らない みのむし君は、ああやって、秋風に言葉を乗せているのですよ。
同情なんてしてはだめですよ・・・子供と言っても、鬼の子ですからね。」
そう言って、鬼は、みのむし君を置き去りにして、逃げ出しました。
捨てられたことも知らない みのむし君は、ああやって、秋風に言葉を乗せているのですよ。
同情なんてしてはだめですよ・・・子供と言っても、鬼の子ですからね。」
コオロギ君は、胸が苦しくなった。
話を聞いて、ブルブル震えるくらい怖いけど・・・友達になりたい!
鈴虫さんが去った後、コオロギ君は、自慢の足でジャンプした。
「みのむし君!みのむし君!」
けれど、秋風に吹かれてジャンプは届かず
ミノの殻で、声は届かない。
ひたすら、秋風が、むなしい笛を吹いている。
ぶらぶら ブランコ ぶら下がる。
「パパ・・・はやくこないかな・・・」
「パパ・・・はやくこないかな・・・」
ラベル
ラベルとは・・・ 空のうたたねは、色々な原作をもとに、作品作りをしています。そこで、作品のジャンルによって、色分けをした印です。