ピストル ~カミュ『異邦人』より~


制作:Paody
絵:Paody
文章:Paody
Silver925
原作:カミュ『異邦人』

少年の夏の思い出・・・
日差しが、ヂリヂリと皮膚を締め上げ、
僕は、その暑さから避難するように日陰の草むらに潜り込む。
すると目の前に「ピストル」が落ちていた。
・・・サビもなく まだ新しい。
ひんやりとした手触りに、ずっしりとした重み。
ひんやりとした手触りに、ずっしりとした重み。
・・・どうやら本物のようだ。
このメタリックな塊は、草の中にあっても「肥料」にならない障害物。
このメタリックな塊は、草の中にあっても「肥料」にならない障害物。
ピストルは、のんきに、人を殺さず、怠けている。
そっと、自分の ノドに銃口をあてた。
もし、引き金を引き、この銃口から弾丸が飛び出せば、僕は死ぬ・・・
もし、引き金を引き、この銃口から弾丸が飛び出せば、僕は死ぬ・・・
考えてみろ・・・
僕がくたばれば、僕の血肉は草木の「肥料」となるじゃないか!
そして、ピストルは、本来の仕事を遂行することができる!
心臓の鼓動が、震える手と共鳴する。
・・・それにしても、あまりにも空がのんきだ。
だから、僕は引き金を引いた―――
ラベル
ラベルとは・・・ 空のうたたねは、色々な原作をもとに、作品作りをしています。そこで、作品のジャンルによって、色分けをした印です。