枯葉 ~吉田兼好『徒然草』より~


制作:Paody
絵:Paody
文章:Paody
copper,七宝
原作:吉田兼好『徒然草』

風が吹き、水たまりの底に沈む枯葉。
小さな波を立て、マドラーで混ぜられた砂糖のように
枯葉は、土へと溶けてゆく。
見上げれば、裸の木。
真っ白く沈黙を守る。
何も語らない木。木。木。
春になれば、あくびをしながら芽吹いたまつ毛。
夏になれば、小鳥を包むやわらかな緑色の腕。
秋になれば、きらびやかな黄金の衣は、ヒラヒラと輝いた。
それなのに、冬になれば、ただ真っ白く沈黙を守る。
暖かい部屋で小説を開けば、ほとんどがハッピーエンドの物語。
まるで春と夏しかない物語。そして、晩秋と冬は存在しない物語。
こんな物語ばかり読んでいると
なんでも欲しがる醜い欲望が育ってしまいそうだ・・・
晩秋から冬の隠れた静けさが奥ゆかしい。
それこそ、リアルエンドの物語。
だから、僕は、水たまりの底に沈む枯葉を拾い上げる。
バラバラになっていく枯葉の物語を、
徒然なるままに、僕は作っていきたい。
ラベル
ラベルとは・・・ 空のうたたねは、色々な原作をもとに、作品作りをしています。そこで、作品のジャンルによって、色分けをした印です。