文学アクセサリー『空のうたたね』

LinkIcon 骨の髄まで獣なのか~中島敦『山月記』より~

制作:Paody
絵:Paody
文章:Paody
Silver925
原作:中島敦『山月記』

 何故こんな運命になったのだろうか。
 
私は、いつの間にかに、
両手で大地をつかみ
毛皮をまとい
風を震わすほどの威嚇の声を張り上げ、
先ほどまで動き回っていた動物の血をすすっている。
 
私は獣である
 
私は、いつの日であったか、
右手で筆を持ち
頭でっかちのプライドで膨らみ
風が噂をするほどの名声がとどろくことを望み、
先ほどまであったはずの躍動する希望は、すでにない。
 
私は人間であった
 
何故こんな運命になったのだろうか。
 
私の心は獣だったのか。
 
私は、いつの間にかに、
自分のプライドのために、他者を認めず
そのプライドってやつの中心は、自らの弱さ
その弱さを隠すために、他者を傷つけ
自分を才能のある人間と思い込んだ。
 
前から、私は、エゴイスティックな獣であった。
 
ひとかけらの人間性は、私には残ってないのか・・・
この肉の下の頭蓋骨のかけらでも、人間性が残っていてほしい・・・
 
そうでなければ、私は生きていたのかさえ、わからない。

中島敦『山月記』


李徴は、世に名を轟かせることを夢を見ていたが、その夢が破れ、虎になる。虎になってもまだ理性をとどめている間に、知人の袁傪に出合い、その生い立ちを語る。ありえないストーリーであるが、李徴の心はどこでもありふれている葛藤である。それゆえ、長く読み続けられているのだろう。
 
展示歴 なし

ラベル

LinkIcon 緑ラベル:物語や戯曲を基に
LinkIcon 赤ラベル:歌や詩を基に
LinkIcon 青ラベル:哲学や思想を基に
LinkIcon 黄ラベル:歴史や考古学を基に
LinkIcon 黒ラベル:Paodyによる
LinkIcon コラボ
ラベルとは・・・ 空のうたたねは、色々な原作をもとに、作品作りをしています。そこで、作品のジャンルによって、色分けをした印です。